2016年リオオリンピックで行われた男子マラソンでは、エチオピアの「フェイサ・リレサ」選手が銀メダルを獲得した。
金メダルは5000mや10000mで、圧倒的な実績を残していたケニアのエリウド・キプチョゲ選手に取られたが、エチオピアも長距離大国の意地を見せたかたちになる。
しかしフェイサ・リレサ選手の場合、銀メダルよりもゴール後に行ったポーズが物議をかもし出して注目を集めている。
実は彼が命がけで行った行為であり、日本人の我々にとっては海外選手の現状や、そのハングリー精神の裏側が見える形となった。
フェイサ・リレサのプロフィール
名前 フェイサ・リレサ
生年月日 1990年2月1日(26歳)
身長 170cm
国籍 エチオピア
マラソン自己ベスト 2時間4分52秒
抗議ポーズの意味とは?
フェイサ・リレサ選手はゴールした瞬間、両手を頭の上でクロスさせるポーズを取っている。
実はこれはフェイサ・リレサ選手から、エチオピア政府に対する抗議の意味を示しており、自身の民族が政府から不当な扱いを受けている事を、世界中に示す事をアピールしたかったようだ。
フェイサ・リレサ選手は「オロモ族」と言う民族だが、実は今このオロモ族がエチオピア政府から弾圧を受けるなどの状態にあるらしい。
オロモ族が政治活動として抗議を行った結果、政府は治安部隊を出動させ、少なくともオロモ族400人以上がころされている。
フェイサ・リレサ選手の親戚も被害に当っており、この現状を許すことはできなかったのだろう。
マラソンと言う苦しい競技を銀メダルと言う成績で走りつつも、フェイサ・リレサ選手の意識は自国の置かれている厳しい状況を、何とかしたいと言う部分に向いていたようだ。
帰国しない理由「私は殺されるかもしれない」
この抗議のポーズを取った後、フェイサ・リレサ選手はエチオピアには帰国していない。
フェイサ・リレサ選手は祖国に帰ると、政府から捕まる・もしくは殺されるかもしれないと話している。
今置かれている状況を心配した関係者も、エチオピアに帰るのではなく他の国に亡命する事を進めているようだ。
もしこれがエチオピア政府の勘に触ったのなら、捕まる可能性は大いにあるだろう。
あるいは同じような事をする人間が出ないためにも、見せしめとして殺されるかもしれない。
銀メダルを獲得しただけに、その注目度は大きく、この舞台で政府を非難した意味は大きいと思う。
過去にこんな出来事があった。
日本の仙台育英高校で活躍していた、ケニアの長距離選手のサムエル・ワンジル選手が、オリンピックの男子マラソンで金メダルを獲得した。
外国人ながら非常に勤勉で、ケニア人にはなかった日本の我慢強さを学び、書道でも優秀な成績を残すなど、とても努力家な選手だったそうだ。
しかしワンジル選手は金メダルを取った後、自宅のバルコニーから転落死している。
報道ではじさつと報じられていたが、実際には他殺の線もあるらしく、その真相は謎に包まれたままだ。
勤勉で真面目な性格だったワンジル選手も、金メダルを取ってからと言うもの周囲の人間関係や、金絡みの問題など様々なことが変化したらしい。
メダルを取り世間から注目されることは、特に発展途上の貧しい国にとっては大きな意味を持っている。
フェイサ・リレサ選手はこのまま身を隠すのが正解だと思うが、彼のとった行動はエチオピアにどんな影響を与えるのだろうか。
26歳と言う若さなので、次の東京オリンピックのマラソンでもメダルが期待される。
果たして国の現状が改善し、選手としても出場することが出来るのか、それとも全く違った状況になっているのか、今後の推移が気になるところである。
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